JR目黒駅から目黒通りを白金方面へ。
国立科学博物館を過ぎ、地下鉄白金台駅の向かい側に「瑞聖寺」の石碑があります。

この奥にあるのが「紫雲山瑞聖寺」。
目黒通りから奥まったところにこんなにも清澄な空間があるものか!と驚かされます。
重厚な大雄宝殿、洗練されたデザインの庫裡と水盤が作り上げる境内に入った途端に、真夏のうだる暑さも忘れるほど清々しい気分になりました。
天気の良い日は水盤に青空と大雄宝殿のコントラストが映り込み、大変美しいです!
一説には水盤の中には「向こうの世界」(人の世界ではない場所)があるのだとか・・・。

もともとは大層な伽藍配置を形成していたそうですが、二度の災害や明治維新の混乱のうちにほとんど失われてしまったそうです。

紫雲山瑞聖寺 基本情報
宗派は黄檗宗系(禅宗)、本尊釈迦如来、開山は木庵性瑫、開基は青木重兼になります。
名称 | 紫雲山 瑞聖寺 |
住所 | 東京都港区白金台三丁目2番19号 |
電話番号 | 03-3443-5525 |
拝観時間 | 9:00〜16:30 |
ご本尊 | 阿弥陀如来、布袋尊 |
国指定重要文化財 | 大雄宝殿 |
公式ホームページ | http://www.zuisho-ji.or.jp/ |
紫雲山瑞聖寺 境内
大雄宝殿

本堂である大雄宝殿は何よりも建築物としての見どころがあり、国指定重要文化財にも指定されています。
江戸市中に残された数少ない本格的な仏堂建築になります。
建築としての特徴は以下の通り。
黄檗宗寺院の中心的建物で、身舎(もや)の外側に裳階(もこし)を廻らせ、身舎の屋根は入母屋造、本瓦葺きで、寺格にふさわしい雄大な規模を持つ黄檗建築の仏殿です。
瑞聖寺公式ホームページより
身舎(もや)とは、建物の本体のこと。
裳階(もこし)は風雨から外壁を守るためにつけた下屋根のこと。壁の中腹にある屋根状のもののことですね。
大雄宝殿は濡れ縁(ぬれえん)に上がれます。濡れ縁とは、床が壁の外側に出た部分のこと。
濡れ縁には靴を脱いで上がる寺が多いですが、靴のままでOKでした。
本堂内部へ上がることは出来ませんが、扉が少し開いており、ご本尊阿弥陀如来と布袋尊像などを濡れ縁から肉眼で拝むことができます。

阿弥陀如来像は煌びやかで大変美しいですね!
この濡れ縁はぐるりと廻ることができ、隈研吾設計の庫裏の回廊に続いています。

裏は墓地になっていますので足を踏み入れるのは遠慮しました。
が、お庭が綺麗に整備されていて、座れるところが用意されていたのでしばらく自然の音に耳を傾けてきました。

庫裏(隈研吾設計)

瑞聖寺庫裏は、瑞聖寺創建350年を記念して2018年にリニューアルされました。
設計は国立競技場や高輪ゲートウェイ駅を設計した建築家、隈研吾(くまけんご)。
一流の建築士の設計した庫裏は洗練され、これを観に来るためだけに瑞聖寺を訪れる価値は十分にあると思います。
建築の意図が隈研吾事務所のホームページに記載されていました。
重要文化財に指定されている大雄宝殿から延びる軸線に注目し、中国の寺院建築独特の、デプスを強調した軸性の強い伽藍配置を再現した。軸線の南側に、コの字型の、一辺が開かれた回廊空間を作ることで、地域に開かれた寺院を実現した。
隈研吾ホームページより
回廊をどのように敷くかによって「地域に開かれた寺院」を表現する、というのが目から鱗でした。
今までの寺社見学にはなかった、「建築の意図」を楽しむという楽しみ方を知りました。
庫裏には水盤が設けられており、中央にはステージのようなスペースがあります。
隈研吾氏はここで地域の様々なイベント・パフォーマンスが行われることを期待しているとのこと。
ここにも「地域に開かれた寺院」というコンセプトが反映されています。
水盤には大雄宝殿が映り込み、現実と異界の表裏一体を見るような景色を見ることができます。

元祖山手七福神
瑞聖寺は「元祖山手七福神」の一つで、布袋尊をお祀りしています。
暗くて見えづらいですが、ご本尊阿弥陀如来の右奥に安置されていて、肉眼で見ることが出来ます。

元祖山手七福神のご開帳期間は通年ですので、瑞聖寺の布袋尊はいつでも見られます。
どうぞお見逃しなく♪
\元祖山手七福神をもっと詳しく見たい方はこちら/
おわりに
瑞聖寺は、大通りから少し奥まって、敷地に足を踏み入れた途端に喧騒を忘れられ、禅寺らしい静けさに包まれ芯から落ち着きます。
その場にいるだけで癒される心持ち。
パワースポットとしても抜群だし、建築を楽しむのも粋です。
隠れた名スポットですのでぜひ行ってみてください!
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