JR田端駅から徒歩7〜8分です。
途中で歩行者用の歩道が高架になっているところがあり迷いますがどちらに進んでもOK。
ですが、その道迷いが東覚寺への神秘性を高めてくれました。
大通りを曲がり三角州のような敷地に突然、赤い紙に覆われた仁王像が立ちはだかります。
その異様な姿に足を止めずにはいられません。
東覚寺とは一体どんなお寺なのでしょうか?じっくり見ていきましょう!
東覚寺の基本情報
名称 | 白龍山寿命院東覚寺(真言宗豊山派) |
住所 | 〒114-0014 東京都北区田端2丁目7−3 |
電話番号 | 03-3821-1031 |
最寄駅 | JR山手線・京浜東北線田端駅 |
拝観時間 | 9:00〜16:00 |
ご本尊 | 不動明王 |
文化財 | 雀供養之塚 石像金剛力士立像 |
公式ホームページ | https://tabata-toukakuji.jp/ |
御由緒
東覚寺は、室町時代の末期に源雅和尚が不動明王を勧請し、最初神田筋違に寺を建立したものが、根岸を経て現在の田端に移転しました。
御府内八十八ヶ所霊場66番札所、豊島八十八ヶ所霊場66番札所、上野王子駒込辺三十三ヶ所観音霊場29番札所となっています。
また、谷中七福神の福禄寿を配していいます。
徳川将軍家の祈願書として栄え、山門などに葵の御紋が確認できます。
また、幕府が編纂した「新編武蔵風土記稿」にご本尊不動明王は弘法大師の作、九品仏堂には恵心作の阿弥陀如来像が安置されていると記されています(参考:公式ホームページ)。
赤紙仁王
「赤紙仁王」は、正式名称を「石像金剛力士立像」といいます。
寛永18年に僧・宗海が、疫病を沈めるために建てたとのことです。
身体の悪いところと同じところに赤い紙を貼って祈願すると病気が平癒すると言われています。赤紙は社務所で授与いただくことができます。
また、病気が治ったら「わらじ」を奉納するのが慣しとなっています。
病人を見舞うために日夜歩かれるので草鞋が必要であろう、という思いやりからとのことです。
寺の案内板に書かれていたことが面白かったので引用しておきます。
石仏仁王の背銘に「施主道如宗海上人東岳寺賢盛代、寛永十八辛巳天八月廿一日」と刻まれている。西暦一六四一年より露仏で立っていることになる。
仁王は、本来清浄な寺院の境内を悪から守る金剛力士として山門の両側に立ち、仏法僧の三宝を守護するものであるが、この赤紙仁王は当時江戸市中に流行していた疫病を鎮めるため宗海上人が願主となって建立されたもので、いつのころからか赤紙(悪魔を焼徐する火の色)を自分の患部と同じ箇所に貼って病気身代りと心身安穏を願うようになった。
右の阿像は口を大きく開けて息を吸い込んでいる状態即ち「動」を表し、左の吽像は口をしっかりと結んで息を止めている状態即ち「静」を表している。
東覚寺 赤紙仁王案内板より
阿吽の姿は密教で説く胎蔵界、金剛界の二界を表し、又宇宙一切のものの始めと終りを表している。・阿像から吽像へと祈願し、満願のあかつきにはお礼として草鞋を奉納する。
祈願者、病人を見舞うため日夜歩かれるのでさぞかし草鞋が必要であろうという思いやりからである。
ただ赤紙を貼る、という行為に、とても深い世界が広がっていることがよくわかりますね。
雀供養之塚
東覚寺の墓地へ向かう道に竹筒の形をした石塔があります。
公式ホームページではこれを「雀供養之塚」とよび、下記のように書かれています。
本堂前の植込みに竹の形をした石碑があります。
これは、文化14年(1817)8月に長坂という人が、小鳥の水飲み場として建立したもので、側面には蜀山人の次のような狂歌が刻まれています。むらすずめさわくち声ももゝこえも、
東覚寺公式ホームページより
つる乃はやしの鶴乃ひとこえ
蜀山人は大田南畝のこと。狂歌人四方赤良のことでもあります。戯れに作った狂詩が平賀源内に認められ、狂歌師となりました。
一方で幕府官僚として権力をもっていましたが、寛政の改革の騒乱で幕府を揶揄した狂歌の作者ではないかと疑われ狂歌の筆を置くことに。
のちに情勢が落ち着くと、晩年には「蜀山人」と名乗り再び筆をとりました。
雀供養之塚に刻まれた狂歌は幕府に対する皮肉が込められているのではないか、と推測されています。
辞世の句は「今までは人のことだと思うたに俺が死ぬとはこいつはたまらん」と伝わっています。
畜霊観音
畜霊観音とは、全ての生き物を供養する観音さまで、はっきりと色が残るものは国内で東覚寺に一体しかないそうです。
東覚寺では公式ホームページに特筆したり、授与品に採用したりなど、ことの他畜霊観音さまを大事にされているようです。
御朱印帳も生き物の絵柄になっています。
そのためでしょうか、一般に公開は一切されていないようですが、切画師風祭竜二さんの作品の写しを干支とセットで「散華」として授与しています。
風祭竜二さんの切画は以下のホームページで見ることができます!
とてもとても素敵!!
「畜霊供養」とはペットはもちろんですが、小さな虫や、屠殺された家畜の供養などにも通じるとのこと。改めて、自分が生きているのは色々な命のおかげだなと身に沁みました。
境内の仏像・庚申塔など
東覚寺の境内にはたくさんの仏像があります。
立派なものも、遊びで作ったのかな?というものも様々。
なぜそこにあるのか、謂れや細かいことは一切不明ですが、ちょっと面白いので掲載します。
おわりに
東覚寺は江戸時代、幕府との関わりが深く、多くの文化人が立ち寄る名刹でした。
今も変わらず人々の癒し場であるようで、境内にはベンチが置かれ、ふくみみが訪ねた時もお婆さんが座ってゆったりと過ごしておられました。
「生きとし生けるものを供養する」畜霊観音さまを初め、境内には慈愛に満ちた観音様ほか仏像の眼差しに見守られ、とても優しく温かな気持ちになるお寺でした。
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